自動車保険におすすめの特約

自動車保険には対人・対物補償保険や車両保険などの「基本補償」に加えて、オプションとなる「特約」を付け加えることによって補償内容をより充実させることができます。ただしあまり必要のない特約を付けていたとしても、保険料を無駄にしてしまうだけになります。この記事では自動車保険におすすめの特約をはじめ、保険会社ごとの比較、特約の選び方について紹介しています。


濱田 環
監修者:濱田 環
保有資格:CFP、1級FP技能士、全米NLP協会公認NLPトレーナー
プロフィール:2007年FP資格を取得、大手損保などを経て独立。やりたいと思うことを実現できる家計、起業家への経営アドバイスなど、お金を心理学の面からもアドバイスしています。

自動車保険におすすめの特約

弁護士費用特約

もらい事故などこちらに過失がない「過失ゼロ」の事故の場合、契約中の保険会社が代わりに示談交渉を行うことはできません。また過失割合や損害賠償額に納得がいかない場合や、相手が保険に入っていない場合には事故解決までに多くの時間と労力を必要とします。

そんな時に役立つのが「弁護士費用特約」です。この特約をつけていると事故の相手方や相手方が加入している損害保険会社との示談交渉を弁護士に依頼できたり、弁護士に相談するための費用や裁判費用を負担してくれます。事故の際に泣き寝入りしないためにもおすすめの特約です。

弁護士費用特約
保険会社付帯補償内容、限度額
相談・書類作成費用弁護士費用
アクサダイレクト任意10万円300万円
イーデザイン損保自動セット合計で300万円
SBI損保任意300万円
おとなの自動車保険任意10万円300万円
ソニー損保任意10万円300万円
チューリッヒ任意10万円300万円
三井ダイレクト損保任意10万円300万円
JA共済任意10万円300万円

弁護士費用特約で補償されるのは主に「弁護士費用」と「相談・書類作成費用」の2つです。弁護士費用とは、着手金や仲裁や和解費用、裁判や調停にかかる費用、弁護士報酬のための費用で、ほとんどの保険会社では1回の事故につき1名あたり300万円が限度額として設定されています。

またSBI損保を除き弁護士などへの相談費用、書類作成費用も10万円まで補償してくれます。ただしイーデザイン損保は弁護士費用と相談・書類作成費用も含めて300万円が限度となっており、弁護士費用特約も自動でセットされており外すことができない点に注意しましょう。

示談交渉も弁護士に任せられるのでおすすめ

監修者:濱田環
濱田FP
弁護士費用特約は必ず付帯されることをおすすめします。また交通事故に詳しく経験豊富な弁護士を選ぶようにしましょう。ご自身で詳しい弁護士を探されるか、委任する前に確認することが大切です。契約者側の過失割合が100%の事故の場合などでは、弁護士費用特約が使用できませんので注意が必要です。

人身傷害特約

相手方がいる自動車事故によってケガを負った場合、入院や手術にかかる費用や働けなくなったことによる収入減の補償はすぐに支払ってもらえるとは限りません。過失割合について相手方と争う場合は示談交渉が完了し、損害賠償額について決定しないと保険会社から保険金がおりません。また単独事故の場合でも他の保険に加入していないとケガや死亡について保険金は支払われません。

このような事故の際に役立つのが「人身傷害特約」で、事故の過失割合に関係なく治療費や休業補償などの損害額を契約している保険会社から支払ってもらえます。「搭乗者傷害保険」とは異なり補償範囲が広く、保険金額の範囲内で実際にかかった損害額が支払われるのでおすすめです。

人身傷害特約
保険会社付帯補償内容、保険金
タイプ保険金
アクサダイレクト任意2種類3,000万円~無制限
イーデザイン損保任意2種類3,000万円~無制限
SBI損保任意2種類3,000万円~無制限
おとなの自動車保険自動セット2種類3,000万円~無制限
ソニー損保自動セット2種類3,000万円~無制限
チューリッヒ自動セット2種類3,000万円~無制限
三井ダイレクト損保任意2種類3,000万円~1億円
JA共済任意2種類3,000万円~無制限

人身傷害特約には大きく2つのタイプがあり、契約車に搭乗中の事故のみが補償される「車内タイプ」と契約車に搭乗中以外の事故も補償される「車内・車外タイプ」があります。「車内・車外タイプ」では他の車に乗車していた時の事故や、歩行中などに他の車やバイクによる事故でケガをしたり死亡した場合も補償されます。

ソニー損保のように自身傷害保険として基本補償に自動でセットされている保険会社もありますが、アクサダイレクトのように特約として付帯を任意で決められる保険会社もあります。保険金は3,000万円~無制限の間で選ぶことができますが、大きな後遺障害に備えるためにも「5,000万円以上」の保険金額がおすすめです。

過失割合に関係なく保険金が支払われます

対物超過修理費用特約

例えば車同士の事故を起こしてしまい、相手方の車両を修理する費用を負担することになりました。しかし対物補償保険では相手方の車両の時価額までしか補償されず、修理費用が時価額を上回った場合には自身で足りない分を負担する必要があります。

こんな時に役立つのが「対物超過修理費用特約」で、時価額と修理費用の差額を補償してくれるものです。またこの特約を付帯させておくことで相手方や保険会社とのやり取りが少なくて済み、事故解決がスムーズに進むというメリットもあります。

対物超過修理費用特約
保険会社付帯保険金
アクサダイレクト任意50万円
イーデザイン損保任意50万円
SBI損保任意50万円
おとなの自動車保険任意50万円
ソニー損保自動セット50万円
チューリッヒ任意50万円、または、無制限
三井ダイレクト損保任意50万円
JA共済自動セット50万円

ほとんどの保険会社では50万円を上限に差額費用を補償してくれます。チューリッヒは保険金額を無制限に選択することができ、高額な修理費用にも対応することができます。またソニー損保とJA共済は対物賠償保険に自動でセットされており、任意で補償を外すことはできません。

超過した修理費用が補償され事故解決がスムーズに

個人賠償責任補償特約

日常生活の中で他人の所有物を壊してしまったり、他人にケガを負わせてしまった場合など損害賠償を請求されるようなケースに役立つのが「個人賠償責任補償特約」です。自転車で運転中の事故も補償されるので自転車保険としても利用でき、同居中の親族などにも補償が適用されるので付帯させておくのがおすすめです。

個人賠償責任補償特約
保険会社付帯保険金
アクサダイレクト任意 ※13,000万円
イーデザイン損保任意1億円
SBI損保任意1億円
おとなの自動車保険任意無制限
ソニー損保任意3億円
チューリッヒ任意3000万円、5,000万円、1億円
三井ダイレクト損保自転車賠償特約のみ
JA共済任意2億円

※1 アクサ安心プラスを付帯させる必要あり

火災保険やバイク保険などすでに他の保険で個人賠償補償特約をつけている場合は、補償が重複して保険料が無駄になってしまうので注意が必要です。

また保険会社によって設定できる保険金額が異なっており、アクサダイレクトは保険金額が最大で3,000万円となっている点に注意しておきましょう。三井ダイレクト損保は自転車の運転中にのみ補償される特約があります。

ご家族が起こした日常生活の事故を幅広く補償

監修者:濱田環
濱田FP
個人賠償責任保険は保険会社によっては名称が異なっており補償内容が重複しないかどうかを確認しましょう。記名被保険者の同居の親族と別居の未婚の子までが被保険者の範囲となります。ただし個人賠償責任保険は示談交渉ができないものがあり、示談交渉できるかどうかは必ず確認してから契約しましょう。

ニーズに応じてつけるべき特約

ファミリーバイク特約

記名被保険者や同居中の家族が原動機付自転車(総排気量が125cc以下)を運転している際に起こった事故に対して補償される特約です。自賠責保険だけでは多額の損害賠償には対応していないので、ご家族の中に原付バイクを運転される方がいれば付帯をおすすめしたい特約です。

ファミリーバイク特約
保険会社付帯補償内容
タイプ保険の種類
アクサダイレクト任意1種類対人・対物賠償、自損事故
イーデザイン損保任意1種類対人・対物賠償、自損事故
SBI損保任意2種類対人・対物賠償、自損事故、人身傷害
おとなの自動車保険任意2種類対人・対物賠償、自損事故、人身傷害
ソニー損保任意2種類対人・対物賠償、自損事故、人身傷害
チューリッヒ任意1種類対人・対物賠償、自損事故
三井ダイレクト損保任意3種類対人・対物賠償、自損事故、人身傷害

基本的に対人・対物賠償保険は主契約の自動車保険と同じ補償内容となっており、ご自身のケガに対する補償は保険会社によって異なります。SBI損保やソニー損保などでは「人身傷害タイプ」を選ぶことができ、この場合は事故の相手方との過失割合に関係なくスムーズに保険金を受け取ることができるというメリットがあります。

原付バイクを運転中の事故を手厚く補償

レンタカー(代車)費用特約

事故で車を修理に出している間でも車が必要だという方におすすめなのが「レンタカー費用特約」です。修理期間中にレンタカーを借りた費用を負担してくれるもので、借りた日数に一日あたりの保険金額を掛けた金額が支払われます。

レンタカー(代車)費用特約
保険会社付帯限度額
限度額限度日数
アクサダイレクト自動セット無料 ※1修理期間中
イーデザイン損保任意5,000円30日間
SBI損保任意5,000円、7,000円、10,000円30日間
おとなの自動車保険任意5,000円、7,000円、10,000円30日間
ソニー損保任意5,000円、7,000円、10,000円など30日間
チューリッヒ自動セット無料 ※2修理期間中
三井ダイレクト損保任意5,000円、7,000円、10,000円など30日間

※1 アクサダイレクトが指定する修理工場を利用した場合のみ適用
※2 チューリッヒが指定する修理工場を利用した場合以外も適用

一日あたりの保険金額は用意されたものの中から決めておく場合と契約対象の車種に応じて変わる場合があります。またアクサダイレクトやチューリッヒは修理期間中のレンタカーを無料で提供しているので、修理期間中の代車費用を抑えたいという方にもおすすめです。

毎日車が必要な方におすすめの特約

自動車保険におすすめの特約のまとめ
自動車保険にオプションの補償となるおすすめの特約について紹介してきました。特約に関しては必要がないと感じておられる方も多いと思いますが、わずかな保険料で補償を手厚く幅広くすることができます。自動車保険の更新時にはチェックリストと併せて特約の見直しも行いましょう。

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