自動車保険の車両保険やその他の補償において「免責金額」が定められているものがあります。免責とはどのような仕組みなのか、車両保険に設定する場合にどのような免責金額が適しているのか、保険料を節約するためにおすすめの免責設定などについて分かりやすく解説しています。
保有資格:CFP、1級FP技能士、DCプランナー
プロフィール:大手金融機関にて営業・企画・総務などを経験、これまでの経験とFPの知識を活かし老後1憶円資産の捻出方法を確立。現在、執筆、監修、相談、セミナー講師などで、資産運用、保険の見直しなどのアドバイスを行っている。
自動車保険の免責について
免責とは
「免責」とは保険会社が保険金を支払う責任を免れることができるというもので、自動車保険の場合は5万円や10万円などの「免責金額」を設定することができます。契約時に定められた免責金額については保険会社は契約者に支払う必要がなく、つまり契約者が自分で負担する自己負担額となります。
例えば免責金額を5万円に設定していた場合、損害額が20万円の事故であれば保険会社は15万円の保険金を支払い、契約者が5万円を負担するということになります。損害額が免責金額を下回っている場合は保険会社から保険金が支払われることはありません。
免責金額とは
「免責金額」とは保険を使って保険金を請求する場合に自分で負担する必要がある「自己負担額」のことで、原則として契約時に免責金額を決定します。免責金額を高く設定すると保険料が下がるというメリットがあります。
免責金額の種類には「増額方式」と「定額方式」があり、増額方式は1回目が5万円、2回目が10万円といったように2回目以降の免責金額がアップします。定額方式では1回目も2回目も5万円といったように、事故の回数によって免責金額が変わることはありません。
免責金額について | ||
---|---|---|
種類 | 1回目 | 2回目 |
増額方式 | 0円 | 5万円 |
5万円 | 10万円 | |
定額方式 | 5万円 | 5万円 |
10万円 | 10万円 |
免責金額は「0円」「5万円」「7万円」「10万円」のような金額の中から契約者が選んで決定します。選択できる金額は損害保険会社によって異なるので、免責金額について契約時によく確認しておきましょう。
免責ゼロ特約
初回の事故に限り免責金額をゼロにしてくれるのが「免責ゼロ特約」です。免責ゼロ特約をつけることによって保険料は少し上がりますが、契約期間の初回の事故に限り損害額を自己負担で支払う必要はありません。
免責ゼロ特約は「すべての事故に対応」「車対車の事故のみ」の2種類の中から選ぶことができ、補償範囲が異なるので注意しておきましょう。「車対車」の場合は車両同士の事故の場合に免責ゼロが適用されます。
免責ゼロ特約について | |
---|---|
種類 | 補償範囲 |
免責ゼロ | すべての事故 |
免責ゼロ(車対車) | 車対車の事故のみ(相手が分かる事故) |
免責ゼロ特約は契約時の等級が7等級以上で、1回目の免責金額が5万円に設定している場合にのみ付帯させることができます。また車両保険をエコノミーや限定タイプを選択されている場合、補償範囲がすべての事故をカバーする免責ゼロ特約を付帯させることはできないのでこちらも注意しておきましょう。
免責金額の決め方
免責金額はできるだけ高く設定
免責金額はできるだけ高い金額で設定しておくことをおすすめします。なぜなら保険料の節約につながりますし、自己負担なしで車両を修理できる場合があるからです。
- メリット1:保険料の節約につながる
- メリット2:車同士の事故では自己負担の可能性が低い
免責金額を高く設定しておいた方が保険料は安くなり、契約期間中に無事故で保険金を請求しなかった場合は節約になります。何年も事故に遭わなかった場合の節約額は大きな金額になりますし、軽微な事故であれば免責金額を自己負担すればいいと割り切って考えておくのも1つです。
また相手がある車同士の事故の場合、相手方の対物賠償保険からも保険金で損害額を賠償してもらえます。この保険金は損害額のうちの免責金額部分を優先して充当されるので、自己負担をする必要がないケースもあります。
例えば免責金額が10万円に設定しており損害額が30万円の事故に遭遇した場合、相手方からの保険会社から過失割合に応じて保険金が支払われます。もしこちらの過失が60、相手方が40の過失割合でも、「30万円×40%=12万円」は相手方から支払われることになり、12万円は免責金額の10万円に対して優先して利用することができます。車両保険を使った場合は残りの18万円がこちらが加入している保険会社から支払われます。
自動車保険の免責のまとめ
免責金額を上手に設定することで保険料を抑えながら上手にリスクに備えることができます。車両保険を使うと等級もダウンし翌年から保険料も上がってしまうので、どの金額まで自己負担できそうなのかについて検討しておきましょう。
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